糖尿病について

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糖尿病とは?

インスリンというホルモンの働きが不足して、全身にひずみが生じる病気です。

インスリンとは?

膵臓のβ細胞から分泌されるホルモンです。血液中のブドウ糖をエネルギーとして利用するときに必要です。

ブドウ糖とは?

食べ物が分解されてブドウ糖が作られ、エネルギー源となります。血液中のブドウ糖の濃度を血糖値と言います。

症状

糖尿病の患者さんはインスリンの働きが不足しているため、ブドウ糖を上手にエネルギーとして利用できません。そのため、血液中にブドウ糖が貯まり、血糖値が上昇します。また、余分なブドウ糖の一部が尿の中に出ることもあります。軽いうちには症状はありません。しかし、病気が進むと症状が出てきます。

1.のどが乾き、水をたくさん飲む。おしっこが頻回になる。

進行して尿の中に糖がたくさん出るようになると、尿量が増えて体は脱水を起こします。そのため、のどが渇くのです。

2.食べても食べてもやせる。

食物の栄養を吸収する臓器から分泌されるインスリンがうまく働かなくなり、細胞のエネルギー源であるブドウ糖を取り込めなくなっているためです。

3.疲れやすい。

インスリンの働きが悪いため、ブドウ糖をエネルギー源として利用できなくなります。代わりに蛋白質や脂肪を分解してエネルギー源とするため、筋肉(蛋白質)や体脂肪が減ります。そのために体重が減り、疲れやすくなるのです。さらに症状が進むと…脂肪を分解するたびに作られるケトン体という物質が体を酸性に傾かせてしまいます。これを放置すると意識障害に陥り、命に危険があります。

4.意識障害。

インスリンの絶対的不足にともない細胞内の糖が欠乏し、全身性の代謝性ケトアシドーシスを引き起こして発症し、意識障害を起こしてしまいます。

糖尿病の分類

糖尿病はインスリンの働きが不足する原因で4つに分けられます。

1.1型

若い人(25歳)、痩せ型の人に多く、何らかの原因で膵臓からインスリンが出なくなり、突然発症する。

2.2型

中年以降(40歳以上)で、現在肥満があるか、過去に肥満のあった人、血縁者に糖尿病患者がいる人に多く、徐々に発病する。日本人ではほとんどがこの型である。膵臓からインスリンは出ているが、その働きが悪く糖尿病になっている。当初は食事療法や飲み薬で治療が可能な場合が多い。

3.その他の特定の原因、病気によるもの

肝臓病、膵臓病、その他の病気や薬(主にステロイド剤)のために起こる糖尿病。

4.妊娠糖尿病

妊娠時に発症する、初めて発見された糖尿病。

糖尿病の合併症

合併症とは糖尿病があると起こしやすい余病のことです。糖尿病は症状のない病気ですが、血糖のコントロールが悪い状態を続けていると体のあちこちに障害が出ます。

1.血管合併症

  1. 糖尿病性細小血管合併症
    • 糖尿病性網膜症
      初期は目の奥の網膜に毛細血管瘤、小さな出血点ができて、進行すると眼底出血を起こして失明することもあります。
    • 糖尿病性腎症
      腎臓の血管に障害が出て、蛋白尿が出るようになります。その後むくみが出て血圧が上がり、最終的には人工透析が必要になります。
  2. 動脈硬化性血管合併症
    • 動脈硬化は血糖値が高いと早く進みます。心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすくなります。

2.神経の障害

全身にある神経細胞に障害が出るため、下肢の痛み・しびれ・こむら返りが出ます。また内臓の神経にも障害が出るため、下痢・便秘・立ちくらみ・インポテンス・排尿障害・発汗異常などがあります。

3.感染症

肺炎・結核・歯槽膿漏・膀胱炎・腎孟腎炎・皮膚の傷の悪化などがあります。糖尿病があると細菌の感染が起こりやすく、治りにくいのです。

糖尿病の診断

糖尿病の詳しい診断は血糖とHbA1cの検査によって行われます。(1)早朝空腹時の血糖が126mg/dL以上(2)随時の血糖値が200mg/dL以上(3)75g経口ブドウ糖負荷試験で2時間値が200mg/dL(4)HbA1c(NGSP)が6.5%以上確認された場合は『糖尿病型』と判定します。ただし、(1)~(3)のいずれかと(4)が確認された場合は『糖尿病』と診断されます。

糖尿病の診断

ブドウ糖負荷試験

ブドウ糖負荷試験

早朝空腹時に、ブドウ糖75gを摂取したのち、30分ごとに採血して血糖を測定します。正常な人は空腹時血糖が110mg/d未満、かつ2時間後が140mg/dL未満になりますが、空腹時血糖が、126mg/dL以上、または2時間後が200mg/dL以上の人は糖尿病と診断されます。正常型、糖尿病型いずれにもあてはまらない人は境界型といい、将釆糖尿病となる可能性が高いので充分な観察が必要です。

糖尿病の治療

糖尿病の治療は血糖値を良好にコントロールすることで余病を起こすことなく、健康な人と変わらない生活を送ることを目標としています。

糖尿病の治療

治療目標は年齢、罹病期間、臓器障害、低血糖の危険性、サポート体制などを考慮して個別に設定する。

注1)適切な食事療法や運動療法だけで達成可能な場合、または薬物療法中でも低血糖などの副作用なく達成可能な場合の目標とする。

注2)合併症予防の観点からHbA1cの目標値を7%未満とする。対応する血糖値としては、空腹時血糖値130mg/dL未満、食後2時間血糖値180mg/dL未満をおおよその目安とする。

注3)低血糖などの副作用、その他の理由で治療の強化が難しい場合の目標とする。

注4)いずれも成人に対しての目標値であり、また妊娠例は除くものとする。

糖尿病の治療には下の3つの方法があります。

糖尿病の治療の目標は

『良好なコントロールを長く維持し、糖尿病に特有な合併症や余病を防ぐ。』

ということです。

そのためには、あなた自身が日常生活の中で糖尿病を管理しなくてはいけません。あなたに今後実践してほしいことをこれからお話しします。

1.体重測定

標準体重を維持することが重要です。
自分の標準体重を知り、その体重を維持する。もしくはその体重に近づけるようにしましよう。
体重測定は週に1回は行い、自分の体重が今どのくらいなのか把握するようにしましょう。

2.血圧測定

糖尿病の患者さんは血圧が高くなりやすく、高血圧になると動脈硬化が進みやすいことが分かっています。
最近は家庭でも簡単に血圧が測れるようになりましたから、自分の血圧がどのくらいなのか知っておくのは良いことです。

血圧の目標は135/85mmHgです。

3.血糖自己測定

今は指先で痛みも少なく簡単に血糖値を測ることができるようになりました。
インスリンを打っている方は保険の適用で毎日の測定ができますから、実施をお勧めします。
血糖値を自分で知ることは低血糖発作の予防にもなります。

4.体調を崩したらどうする?

例えば、

  • 下痢・吐き気・嘔吐のため食事を摂れない。
  • 発熱している。
  • 精神的なストレスでだるい、眠れない。

このようなことがあると血糖値は必ず乱れます。

体調不良の際には、むしろ血糖値が上昇していることが多く、食べないからと言って薬を飲まなかったり、インスリンを注射しなかったりすると高血糖昏睡を起こすこともあります。
一方で食事摂取量の極端な低下で低血糖発作を起こす場合もあり、早めに受診して医師の診察を受けることが大切です。

5.外来受診

糖尿病は症状のない病気です。
症状が出たときには血糖値が非常に高い状態だったり、合併症が進んでいたりします。
そのため、定期的に外来へ通院して検査を受けることが大切です。
半年に1回は合併症の進み具合をチェックする意味で心電図などのメディカルチェックを受けるようにもしましょう。

6.歯の健康管理

糖尿病があると、虫歯・歯肉炎・歯槽膿漏を起こしやすく、症状も早く進みます。
また治療にも長い時間がかかることがあります。
毎日歯磨きをして、歯の点検をしましょう。
また歯石も定期的に取りましょう。

7.足の健康管理

糖尿病の方は足にトラブルを起こしやすいため、毎日の観察と手入れが必要です。
特に気を付けなくてはいけないのは次のような症状がある方です。

  • 両方の手先や足先がジンジンしびれる。
  • 両方の手先や足先がぴりぴりと痛む。
  • よく足がつる。(こむら返りになる)
  • 砂利の上を歩いている感じがする。

こういった症状は糖尿病の神経障害に特有の症状ですから、心当たりがある方は医師にご相談ください。

<観察と手入れの方法>

  • 毎日入浴し、足をよく洗う。皮膚がふやけるほどの長湯はしない。
  • 洗った後は水分をしっかりとふき取る。水虫・傷などのトラブルがあるときは乾燥させた後、薬を塗るようにする。
  • 靴下は怪我防止のため必ず履く。素材は木綿のもので傷ができたときにすぐに気が付くように白い靴下が良い。
  • 汗をかいたり、雨でぬれたりしたらすぐに靴下を履きかえること。湿ったままでいると水虫などの皮膚のトラブルにつながります。
  • 足に優しい靴を選ぶ。ポイントはつま先の余裕、かかとの低いもの、運動靴タイブが良い。新しい靴は少しずつ履きならすようにして、靴を履くまえには中に小石などがないかチェックする。
  • 爪はなるべくヤスリで削るようにし、深爪に注意する。
  • 硬い場合は、無理に切ろうとせずに医師に相談する。
  • 火傷に注意する。入浴時の温度確認、こたつや電子カーペットや電気あんかの使用も低温火傷の原因になるので注意する。夏に裸足で砂浜を歩いたりするのもやめること。

8.旅行

旅行は多くの人にとってストレス解消であり、楽しい出来事です。
そこで旅行中に体調を崩してせっかくの旅行を台無しにしないためにもゆとりをもった計画を立ててください。
薬は予備も持参するようにし、海外へ行く場合は医師に相談し注射や内服の時間を決めましよう。
健康保険証、糖尿病手帳を持参し、海外へ行く場合は外国語の糖尿病患者カードもあります。

お問い合わせ

ご不明点などございましたら、
きくち内科クリニックへご相談ください。

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