糖尿病の治療法
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食事療法について
糖尿病の治療の基本は食事療法です。
インスリンを注射している人でも、経口血糖降下剤を飲んでいる人でも必ず行わなくてはならないのは食事療法です。
糖尿病はインスリンの働きが不足して起こる病気ですから、インスリンを節約する必要があります。そこで食事療法でインスリンの必要量を増す最大の原因である過食と肥満を取り除き、インスリンの節約を図るのです。
具体的にはどういう食事をしたらいいのか…。
「量を減らせばいいのかな?」「肉をやめて野菜ばっかり食べてればいい。」…いいえ、間違いです。
これから一緒に学びましよう。
食べる量を決めます
まず、あなたの標準体重を知ることが必要です
標準体重 = 身長(m)× 身長(m)× 22
1m65cmの人は、1.65 × 1.65 × 22 = 59.9kgになります
次に一日の総エネルギー量です。
総エネルギー量 = 標準体重 × 体重1kgあたり必要な熱量(男性30~35、女性25~30)
この総エネルギー量はこの他に肥満度や職業などを医師が考慮して決定します。
あなたの総エネルギー量は( )キロカロリーです。
栄養のバランスがとれた食事をする
糖尿病だからと言って食べてはいけない食品はありません。
しかし、決められた総エネルギー量の中で糖質・蛋白質・脂質などのいろいろな栄養素をバランス良く配分した食事を摂ることが大切です。これには食品交換表を使うと便利です。
※食品交換表
私たちが日常食べている食品を、その含まれる栄養素別に6つの表に分類したものです。食品は1単位(80キロカロリー)ですべて表されています。同じ表の食品は単位数が同じならば交換して食べられます。
嗜好食品と外食
1.アルコール
アルコールは1g = 7キロカロリーです。アルコールは栄養がなく、カロリーだけがある…つまりどの食品とも交換できないことになります。アルコールの弊害は他にもあって…
- つまみを摂りすぎることが多い。またつまみにはカロリーの高いものが多い。
- 酔うと気が大きくなり、ついアルコールも食べ物も量を過ぎる。
- 飲み過ぎは肝障害・慢性膵炎につながり、ますます血糖のコントロールを悪化させる。
2.コーヒー・紅茶
砂糖もミルクも入れないで飲む場合、カロリーの計算は必要ありません。しかし、これらに含まれるカフェインは血液中の脂肪を増加させるので何杯も飲まないほうがいいでしょう。
3.お菓子
甘いお菓子はもとより、煎餅やポテトチップなどカロリーの高いものが多く、アルコール同様どの食品とも交換できないため余分なカロリーになってしまいます。今までお菓子が好きでよく食べていた方はこれを機に控えてください。
4.外食
外食類は味付けが濃いものが多く、脂質も多くなりがちです。煮物の調味料やサラダのドレッシングなどからどうしてもカロリーがオーバーしてしまいます。外食の機会が多い方や出来合いのおかずをよく利用する方はメニューの選び方などを栄養士と相談しましょう。
- ゆっくりと時間をかけて食べましょう。
- よくかんで食べましょう。(一口20回以上)
- 薄味にしましょう。
- 偏食はやめましょう。
- 野菜は充分に摂りましょう。
- 規則正しい生活を心がけましょう。
- 他人と一緒に食事をするときは、自分だけたまに休み、一緒に食べ始め、一緒に食べ終わるようにしましょう。
- 台所以外には食べ物を置かないようにしましょう。また、調理しないですぐに食べられるものはできるだけ目の届くところには置かないようにしましょう。
運動療法について
運動不足や肥満によるインスリン抵抗性は糖尿病の大きな原因になっています。運動療法の効果には次のようなものがあります。
- エネルギーの利用が増え、インスリンが節約できる。
- 血液の流れが改善し、血管合併症の予防になる。
- 体カや気カの衰えを防ぐことができる。
- 日常生活のリズムとなり、ストレス解消にもなる。
これらの効果は運動を続けることで現れます。
そこで、実際にどのような運動をするのがよいのでしようか?
運動の原則は
- 運動の程度は汗ばむ程度にすること。
- 毎日規則的に、平均して一定量の運動を続けること。
- 動的運動と静的運動を組み合わせて行うこと。
動的運動とは・・・
歩く、走るといった体重の移動をともなう運動。
静的運動とは・・・
体操やボディビルといった筋カを高める運動。
※注意事項
- 合併症があったり、血糖値が非常に高かったりするときは運動をするとかえって悪化します。
運動の量や種類については主治医とよく相談しましょう。 - 軽い運動から少しずつ強い運動へ、無理せずマイペースで。
- 運動は食後1~2時間ぐらいで行うのが良いでしょう。
もし無理な場合は主治医とよく相談して行う時間帯を決めましょう。 - 準備体操、整理体操を行いましょう。
- 風邪・下痢など体調の悪いときにはやめましよう。
- 疲れを翌日に残さない程度にしましょう。
薬物療法について
糖尿病の治療に薬物が必要となるのは食事療法と運動療法を充分に行っても血糖コントロールがうまくいかないときです。
薬を使い始めても今まで通り食事と運動を続けていく必要があります。
糖尿病の薬には大きく分けて
- 経口血糖降下剤(飲み薬)
- インスリン
の2つがあります。それぞれに正しい服用方法・注射方法があります。正しく薬を使うことで効果が上がります。自分の薬についてよく知ることが大切です。
薬を使用している患者さんが最も気を付けなくてはいけないのが『低血糖発作』です。
低血糖は血液中のブドウ糖の値(血糖値)が異常に下がりすぎたときに起こります。原因としては、インスリンや経口血糖降下剤の使用が多すぎる、食事が少なすぎる、激しい運動をしたなどがあります。
低血糖の症状には次のようなものがあります。動悸・冷や汗・めまい・手足のふるえ・昏睡などです。
症状の出方には個人差がありますので、自分の発作の状態を知り、早期に対処することが必要です。また、自宅で血糖を測る方法もあります。インスリンを打っている方は実施していただくことが望ましいでしよう。
低血糖発作を予防するには
- 決められた薬の量、種類、時間を守ること。
- 食事時間や食べる量を守ること。
- ゴルフ、ハイキングなど普段より運動量が増えるときには事前にカロリーを1単位ほど余分に摂ったり、運動中には1~2時間ごとに少量の糖質を摂ったりするようにしましよう。
- いつも砂糖などの糖質を携帯し、低血糖症状が出たら、早めに摂取してください。ただし、ベイスン・グルコバイを服用している方はブドウ糖を摂取してください。
- 外出先で低血糖の発作が起きても適切な治療が受けられるように糖尿病手帳をいつも携帯しましょう。